【イタリア語・初級文法】補語人称代名詞について解説!

今回は、イタリア語の補語人称代名詞についてみていきましょう。

補語人称代名詞には直接目的補語と、間接目的補語がある

イタリア語の補語人称代名詞には直接目的補語と間接目的補語の2種類のものがあり、それぞれ強形と弱形をもっています。直接目的補語は英文法で言う直接目的格にあたり、概ね日本語の 「~を」で表わされる形です。

また、間接目的補語は英語の間接目的格、日本語の格助詞「~に」で表わされる形です。

因みに、ラテン語文法では、これらの格をそれぞれ「対格」 「与格」と呼んでいますので、本校のサイトに辿り着かれた多言語習得(ポリグロット)を目指す読者の方は覚えておきましょう。

強形と弱形

補語人称代名詞には「強形」と「弱形」があります。「強形」は

(1) 動詞の後に置いてその補語を強調するとき、

(2) 前置詞の後で用いるときに用いられます。

「弱形」は動詞の直前に置かれる通常の場合に用いられます。

 

 

 

 

直接補語

間接補語

 

 

 

弱形

強形

弱形

強形

 

1人称

mi

me

mi

a me

2人称

ti

te

ti

a te

3人称

男性

lo*1

lui

gli*5

a lui

 

女性

la*2

lei

le*6

a lei

 

人称

ci

noi

ci

a noi

人称

vi

voi

vi

a voi

人称

男性

li*3

loro

gli

a loro

 

女性

le*4

loro

gli

a loro

単・複

再帰代名詞

si

si

a

 

1. 2. 3. 4. 5. 6. は人だけでなく物についても用いられますが、物について用いる場合の強形は、それぞれ esso, essa, essi, esse; a esso, a essa となります。

loro には弱形がなく、すべて動詞の後に置かれます。この場合、間接補語として動詞の直後に置くとき、前置詞 a を必要としません。

Lui dà loro un regalo. (彼は彼らに贈り物をあげる)

比較 Lui dà un regalo a loro.

会話では、間接補語の3人称複数形として、gli が男女ともによく用いられます。

Lui gli dà un regalo.

 

直接目的補語と間接目的補語の複合系

授与を表わす時、「誰に何を」の形で直接補語、間接補語それぞれの弱形が結びついて、次のような形になります。その場合、語順は「間接補語 + 直接補語」となります。

下記の表からわかるように、間接補語の母音 -i が複合形のときには弱まって-e に変わることに注意して下さい。

 

 

直接補語

lo

li

la

le

ne*

 

 

間接補語

 

 

 

 

 

単数

1人称

mi

me lo

me li

me la

me le

me ne

人称

ti

te lo

te li

te la

te le

te ne

人称

gli/le

glielo

glieli

gliela

gliele

gilene

複数

1人称

ci

ce lo

ce li

ce la

ce le

ce ne

人称

vi

ve lo

ve li

ve la

ve le

ve ne

単・複

再帰

si

se lo

se li

se la

se le

se ne

 

loro についての複合形はないので、“[lo, la, li, le, ne] + 動詞 + (a)loro”という形を用いるのが原則ですが、今日会話では、3人称単数形と同様の glieloの形を用いるのもよく聞かれます。

 

ne は副詞の一種で、次の11課で詳しく学びますが、ここでは [前置詞 di + 人、物、事] を表わす語であると考えておいて下さい。

Lui parla del saggio? (彼はその論文のことについて話しているのか)

No, non me ne parla affatto.

(いいえ、そのことについては私に何も話しません)

敬称の補語人称代名詞

既に学んだように、敬称の人称代名詞には Lei, Loro, Voi 3つが用いられる可能性があるわけですが、これらに相当する代名詞としてはlei, loro, voi の補語人称代名詞形がそのまま大文字で書き起した形で用いられます。

Virgilio La conosce molto bene.

(ヴィルジリオはあなたのことをとてもよく知っています)

Non Vi mandiamo quel documento.

(私達はあなたがたにその資料を送りません)

不定詞と補語人称代名詞の位置

通信講座内で、詳しく説明いたしますが、potere, dovere, volere, sapere などの助動詞類は、英語と同様後に不定法動詞を従えます。

また、イタリア語では、こうした助動詞に限らず
desiderare のように、一般動詞でも、前置詞を必要としないで不定法と結合する動詞がかなりあります。

このように、助動詞と不定法が並んだ場合、補語人称代名詞は不定法の語末に接続して一語で綴られるのが原則です。このとき、不定法語尾の -e は脱落します。

Ecco un giornale. - Posso leggerlo?
(ほらここに新聞があります。-それを読んでもいいですか)

Ho una Alfa Romeo. Desidero vendertela.
(僕はアルファロメオを一台持っている。それを君に売りたい)

イタリア語の補語人称代名詞は初級文法ですが、侮れませんので、しっかりと身につけましょう。

ポリグロットの通信講座で、多くの方の添削・指導をしてきた経験・実績がありますので、どうぞお気軽にご連絡ください。

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