語学力と仕事の関係については、既に弊著「語学で身を立てる」にだいたいのことは書いてあります。(https://amz.run/5XRC)
しかし、この本に書いたことはいわば「ほぼ20年前の語学業界」を前提に書いてありますので、書き足すべきことは増えている、といえます。
語学で身を立てようとしている方からは、相変らず様々なお問い合わせをいただきます。
それらを読んでいて、まず最初に申し上げておきたいことがあります。
語学で身を立てるなら、受け身な姿勢を改めよう
それは、私は上記の本を書いたときと比べても、「語学で身を立てよう予備軍の皆さん」のなかに、最近はますます受身な人が増えているということです。「受身な」という意味はいくつかの意味がありまして、例えば感じるのは次のような点です。
語学で思いっきりチャレンジをしてみてください
1)まだ、本格的に語学を始める前から、語学で食えるかどうか気にしている。何が言いたいかというと、阪本龍馬の時代のことを考えると、皆さん、志というか胆力が足りなさ過ぎる。失敗を恐れず人生に一度ぐらい自分の能力を極限まで高めようとチャレンジしてみて欲しい。
2)既にかなりの実力をお持ちの方が自分の実力を正しく評価できないために、どのような分野でどのような仕事をしてよいかわからない。これは、昔のバブルの頃は「なんとなく」生きていても仕事があったので、自ら仕事を求めるまたはクリエイトする能力ないし根気のなくなっている人が多い。
若者はそういう親に育てられているので、「仕事はありつくものだ」という考えから脱却できない。
3)基本的に、語学業界の状況や語学で身を立てるための方法論について、真剣に研究していると思われる人がほとんどいない。
こうして考えてみると、すべては20世紀後半の文部省(文科省)と日教組の教育の失敗のツケが国全体に回ってきているとしか思えません。ま、そんなこと言っていても仕方ないので、話を続けます。
語学で身を立てるための常識的な方法論としては、本に書いた
1)翻訳ないし翻訳力を活かした情報収集など
2)通訳能力を活かした通訳やガイドのような分野
3)教授能力を活かした教師や教材制作の分野
のほかに、今後有望な分野として
4)著書の執筆やコンテンツを利用したソフト制作
の分野で身を立てる方法が現実味を増してきました。
翻訳業界は専門化が進んでいる
まず、1)の翻訳業界ですが、翻訳業界は専門化が進んでおり、ひとことでいうと「~語ができる」というより、「~の分野の専門知識がある」ほうが仕事を得られやすくなっている、ということがあります。実際、特許や医薬系の翻訳にじっくり取り組んでおられる翻訳者は常に仕事がオーバーフローしている状況です。
この極端な例が、自分の圧倒的に得意な分野で翻訳ノウハウを蓄積し、通常の数倍のスピードで翻訳作業をすることを可能にし、通常の翻訳者の何倍もの収入を得ている人がいるという例です。(私の知人にもそういう人が数人おります) 特に理系のいずれのかの分野に強くIT技術に強い方で、翻訳仕事が好きな方には研究をお勧めしたい方法です。
通訳は高度な専門知識がないと高収入が得られなくなってきている
また、2)の業界は、一部のトップレベルの通訳さん以外は、徐々に業界が厳しくなりつつあります。ひところに比べ、(帰国子女や外国人で日本語のできる人)のような語学のできる人が増えてきたことで、高度な専門知識のある通訳でないと、高収入が得られなくなりつつあるのです。
この分野も、翻訳と同様、何語が話せる、というより、英語はもとより数ヶ国語が通訳できるとか、英語であれば、OO業界については誰にも負けない、といような専門を持つのが仕事を得る近道でしょう。
そして、いまや通訳をやりながら、脇で友達と会社をやっているとか、企業家とフリーの間を行く生き方が今時な働き方ではないでしょうか。このような生き方をすれば、自分の好きな外国に住んだり、または行き来することもできるし、まとまったバカンスもとれるというものです。
あと2つの方面については、かなり関連性が強いので、別記事にしました。
こちらをご覧ください。