イタリア語の初級文法で、今回は所有形容詞を見てみましょう。
イタリア語の所有形容詞について
イタリア語の所有形容詞は、英語の人称代名詞所有格に相当するものですが、英語と違って、それが修飾する名詞の性、数に従って変化します。例えば her father は suo padre (男・単)といいますが、この場合 suo は男性形です。それは padre が男性名詞だからです。従って、his father も suo padre となりますが、前後関係から判断できます。
被所有物
所有者 |
男性 |
女性 |
|||
単数 |
複数 |
単数 |
複数 |
||
単
数 |
1人称 |
mio |
miei |
mia |
mie |
2人称 |
tuo |
tuoi |
tua |
tue |
|
3人称 |
suo |
suoi |
sua |
sue |
|
複
数 |
1人称 |
nostro |
nostri |
nostra |
nostre |
2人称 |
vostro |
vostri |
vostra |
vostre |
|
3人称 |
loro |
loro |
loro |
loro |
つまり、性数は被所有物に一致し、所有者は人称と数のみが明示されるわけです。なお、敬称の Lei に対する形は3人称単数の suo を援用しますが、大文字で書きます
: Suo, Sua, Suoi, Sue (あなたの)
所有形容詞は名刺の後に置かれることも
イタリア語では所有形容詞は通常名詞の前に置かれますが、強調や慣用のために名詞の後に置かれることもあります。
例) amore mio (私のいとしい人よ) a casa mia (私の家で)
mamma mia (私のお母さん = 感投詞として「おやまあ」)
所有形容詞と冠詞は英語、フランス語とも大きく異なる
所有形容詞には原則的に定冠詞をつけます。これは、英語、フランス語などとは大きく異なる点ですので、よく覚えておいて下さい。
例) il mio libro (私の本) la mia matita (私の鉛筆)
単数の親族名詞には冠詞をつけません
例) mio padre (私の父) mia nonna (私のおばあさん)
この場合、「親族名詞」とは一般に4親等までを言います。4親等では冠詞が付いたり付かなかったりで、4親等から冠詞の有無に関して「揺れ」がでてくるようです。
例) (il) mio cugino (私のいとこ) (la) mia cugina (私のいとこ)
ただし、この場合でも loro だけは定冠詞を必要とします。
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例) il loro padre (彼らのお父さん)
babbo (パパ)、mamma (ママ)は感情的な意味がこもっているとされて、一般に冠詞がつきます。
例) il tuo babbo (君のパパ)
また、所有形容詞が名詞の後に出てくると、定冠詞が名詞の前に現れます。
例) la madre mia (私のお母さん)
単数の親族名詞に他の形容詞が付くときには、定冠詞が付きます。
例) mia madre la mia cara madre
イタリア語では、所有形容詞の前に「不定冠詞」が付くこともあります。
従って、英語の a friend of mine は次のように表現されます。
例) un mio amico (私の友達の一人)
イタリア語の所有形容詞と、所有代名詞は基本文法となりますので、しっかりと身につけましょう。
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